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パリ旅行の準備:映画編番外1『ル・ブレ』

番外編。昔観たパリ映画がもう一本あったことに気がついたので、記す。
 
なお、この一連の記事には、映画としての感想はほとんどありません。パリ観光資料としての記録です。
映画感想としての配慮はないので、ネタバレを含みます。
 
さて。
パリとパリジャンについて、この映画から学べることは3つある。

①フランス人はキャンピングカーが大好き
②フランス人はやたら砂漠に行く
③観覧車はサイコー

順番に行こう。

フランス人はなぜかキャンピングカーが好きだ。23日間にも及ぶ自転車レース、ツール・ド・フランスを、彼らは長いバカンスをとって追いかける。キャンピングカーで。コース沿い にキャンピングカーを停めるフランス人の姿が、レースの映像を観れば間違いなく確認できる。自転車は最高時速70kmで彼らの前を一瞬にして通過し、彼らはまたキャンピングカーに乗って明日のコース沿道を目指す。ちょっと不思議な嗜好である。
この映画の主人公レジオには夢がある。いつか自分のキャンピングカーを買うことだ。刑務官としての給料だけでは手が届かない、そう考えたレジオが買った宝くじが、この物語を回す。
色々な手違いとすれ違いの結果、レジオは相棒になった脱獄犯モルテスとともにパリ~ダカール・ラリーを追ってサハラ砂漠へ飛ぶことになる。これが2つめだ。
フランス人はやたら砂漠に行く(私が観た映画ではそうだった)。モロッコだのエジプトだのの砂塵の中には、どうやら彼らのロマンティックなりメランコリック なりをくすぐるものがあるらしいのだ。そしてどの映画でも、フランス人は砂漠でも自分のスタイルを貫こうとして、ナイルのほとりでワイングラスをくゆらせたり、本作のレジオのように砂の世界の過酷さに嘆きまくったりする。そんなんなら、一体なにが彼らを砂漠へと駆り立てるというのだろう。まったく謎である。
映画のクライマックスはサハラでの出来事ということになるのだが、パリ案内的映画鑑賞としては、見るべきは前半である。もう1人の主人公、脱獄犯モルテスとそれを追う白バイ警官のカーチェイス、パリの街を駆け抜けた彼らはシャンゼリゼ通りを抜けて最終的に広場へ辿り着く。そこには巨大な移動式観覧車がそびえている。


移動式観覧車! この甘美な響き!!
日本人にはほとんど馴染みはないだろう。パリの街なかにはメリーゴーランドや観覧車が突如として現れる。広場に。観光地のふとした足元に。
モルテスの車がとうとう追い詰められて観覧車に飛び込む場面。ゴンドラを支える、放射状に広がる蜘蛛の巣のような鉄骨の間に突っ込む車。すわ、すり抜けるか、と思いきや車体がかすめて折れる鉄骨、走る衝撃、そして観覧車は揺れて傾ぎ、ついには土台から外れ、うららかな時間を楽しむ人々で満ちた広場を音を立てて転がり始める。巨大な車輪となって!
なんてアホな展開だ!!
接地するたびに潰れるゴンドラ、それをかすめて走る白バイ。逃げ惑う人々。遊園地の華、巨大観覧車が直径数十mの処刑の大車輪となって阿鼻叫喚の中を疾走する!
爆笑モノである。
ともかくこの「街ナカ観覧車」を観るだけでも、パリ映画としての価値はある。時々観返したい馬鹿さ。大好きである。

 

ル・ブレ リミテッド・エディション [DVD]

『ル・ブレ』2002年/フランス・イギリス/108分

ル・ブレ - 作品 - Yahoo!映画