レザークラフト関係は、歩鳥堂に移行しました。

個別の記事は残してありますが、今後レザクラ・革もの関係の更新はこちらのサイトで行います。

http://hotoridou.pe.hu/gallery/

よろしくお願いします。

「平等院鳳凰堂平成修理完成記念 - 天上の舞 飛天の美 -」 展(六本木 サントリー美術館)

最終日直前に滑り込み。

3連休の初日ということもあってか、混み混みでした。


「平等院鳳凰堂平成修理完成記念 - 天上の舞 飛天の美 -」 展
  1. 飛天の古典 ― インドから日本 ―
  2. 天上の光景 ― 浄土図と荘厳具類 ―
  3. イメージの展開 ― 聖衆(しょうじゅ)来迎像へ ―
  4. 平等院鳳凰堂の世界

 

空を飛び、舞い踊る天人「飛天(ひてん)」。

 私の覚えている限りでは、仏教の図像の中で空飛ぶ生き物は三種類いて、飛天、迦陵頻伽(かりょうびんが)、共命鳥(ぐみょうちょう)。このうち迦陵頻伽と共命鳥は半人半鳥なので、「天を飛ぶ人」は飛天だけ、だったはず。

というのはこのあたりの本を読んで得た知識です。うろ覚え。

 → 人面鳥と有翼人のイメージにみる東西文化の交流

 人と獣が合わさった怪物というものの図像が私は大好きなので、個人的な思い入れは迦陵頻伽や共命鳥の方にあるのですが、でも飛天もやっぱりそれらのお仲間。ということで、是が非でも観なければと思っておりました。

やや込み入った話になってしまうし私も専門ではないのですけれど、しかし飛天も元々の原型というか、飛天が影響を受けたところの西方の図像においては、背中に翼が生えていたのですね。今回の展覧会では、一作だけ有翼の飛天が描かれたものがあります(模造ですが)。もっとたくさん観たかったなー……まあそれはさておき、有翼人を見た中央アジアだかの人たちが「背中に翼って、おかしくね?」となって、代わりに軽やかな羽のようにたなびく衣を飛天に纏わせた、ということがあったのかなあと想像するとその感覚が私はなんだか、可笑しくもありつつ好きです。

 

さて、今回の飛天です。

 展示品は多岐に渡る。ガンダーラの石彫から日本各地の寺の仏像光背飾りまで、本当贅沢です。ただちょっと気になったのが、一体こういうのの客層って、どういう人たちなんでしょうね? 飛天や(途中から登場する)迦陵頻伽や共命鳥というものを、みんなどの程度知っているんでしょう。もうちょっと解説があってもいいのかな、と思ったのですが、仏教美術とか書とかを観に行くと、私には全然分からない言葉が普通に飛び出してくるのでそんなものなのかもしれない。

今回の目玉、平等院鳳凰堂の飛天は、さすがの佇まい。閉じた目元がなんとも艶かしい。しかし個人的に一番度肝を抜かれたのは、文殊菩薩像光背の飛天でした。

東京国立博物館 - コレクション 名品ギャラリー 館蔵品一覧 文殊菩薩騎獅像および侍者立像(もんじゅぼさつきしぞうおよびじしゃりゅうぞう)

 
この浮遊感、腰からのひねりの典雅さ! 本作をベルニーニに喩える方もいるほど。空を飛ぶものという、当然ながら不自然な動きの造形の変遷を、第一章から振り返ってみると、感慨深くさえ思えたのでした。

 

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