レザークラフト関係は、歩鳥堂に移行しました。

個別の記事は残してありますが、今後レザクラ・革もの関係の更新はこちらのサイトで行います。

http://hotoridou.pe.hu/gallery/

よろしくお願いします。

「モネ、風景をみる眼 - 19世紀フランス風景画の革新 -」展(上野 国立西洋美術館)

2014年初展覧会はモネ。

9時半の開館直後に入ったらガラガラでしたので、ゆうゆうと観ることができました。



「モネ、風景をみる眼 - 19世紀フランス風景画の革新 -」展
  1. 現代風景のフレーミング
  2. 光のマティエール
  3. 反映と反復
  4. 空間の深みへ
  5. 石と水の幻影

 

モネと言えば、やはり「睡蓮」、あるいは「積みわら」でしょうか。今回は西洋美術館が会場ということで、所蔵する「睡蓮」はやはり推されているようではあったのですが、実を言えば、私は「睡蓮」はあんまり好きではありません。

なんでしょうね。そもそも自然物を描いた風景画に対して、あんまり思い入れを持つことができない性向を持っているような気はしなくもありません。あと、西洋美術館の常設展というのを多分これまでに30回くらい観ていると思うのですが、だいたいいつも「睡蓮」の部屋くらいまで来るとちょうど疲れてきているんですよね。

それはともかく。

私が思うにモネの最も優れた作品は「ルーアン大聖堂」です。

 

 → ルーアン大聖堂: クロード・モネ|コレクション|ポーラ美術館

 
今回はポーラ美術館所蔵のバージョンが、最終章に展示されています。
 石が燃え上がるかのよう。こんな色があるか! ってほどの薔薇色。
 
あまり関係ないのですが、昔読んだものの本に、ヨルダンのペトラ遺跡の夕暮れを「石が薔薇色に輝く」と記してあったのが、私にはひどく記憶に残るフレーズです。
 
石、と薔薇色。
そんな言葉が結びつくのか、とぎょっとしたことを覚えています。
自然の造作物が、光の具合によって、どんなふうに驚くほど色を変えていくのか。私なんかは思うのですが、私たち都市の日本人には、この、大聖堂のファサードが薔薇色と灰色とに塗り分けられていることが、まさに夕暮れ、時刻の境目の瞬間を映しているのだということが、体感としては理解し難いのではないでしょうか。だってこんな石の建物、こんな色になる石の巨大建造物なんか、私たちの身近にはない。
けれどもこの絵を見て、必要とあらば多少の解説を加えてもらえば、ああそうかこれは夕刻の光なのか、それがこんなふうに見えるものなのか、ということが、すんなりと受け入れられるように思う。
 

私はやっぱり「睡蓮」や「並木道」よりは、石であるとか、都市の建造物を描いたモネの方が好きなのだけれども、それはそういった驚きや、私の目とモネの目との落差がより大きいからなのかもしれない。

今回の展示では、最初の方にモネが初期に近代都市を描いたものが展示されており、そこから自然の風景などを経て最後に「石と水」の章があります。初期の鉄道や都市生活なんかから薔薇色の石までの軌跡を見ることができる構成なのではないでしょうか。